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2006年01月13日 「不安の力」を読んで(1)

 年が明けてもう2週間経ってしまいました。
 のん気な私は、友達からの年賀の返事をまだ書き続けています。
 思わぬ人から年賀が届くと、返事が自然と長くなって便箋に書き換えたりと
気の長いことです。
 
 さて昨年より病院に通う機会がふえ、待ち時間つぶしに五木寛之著の
文庫本で「不安の力」を読んでみました。
 妹の不安の表情は私の不安を映しているのではと思うことがときどき
あるので、つい手が伸びてしまいました。
 病院という特殊な環境での本屋さんの策略にまんまと引っかかった・・・?
ウ〜ン、そのほうが当たってるかも(^^)
       icon01 kisetunomado.gif
           イラスト;季節の窓さんより

 この五木寛之いう著名な作家が“不安”をどう受け止めてるのかも
知りたかったのもあります。
 この内容はいわゆる健常者向けのことが書かれてあり、妹のように
治療中の人間を対象としていないので、妹の問題として捉えるのには
少し無理があるかもしれません。
 しかし精神科医でなく作家でありながら、的を得ている所が多いのには、
さすが視点が鋭いなと思いましたし、私がなるほどっと感じた部分も沢山
ありました。

 心療内科を受診する人がふえた話題の中で
『 心の不自由さ、自分のこころをコントロールできない悩み、こころの問題
から発するパニック、それによって起こるさまざまな苦しみ・・・・・。
こうしたことは、身体的なハンディキャップを持つ人たちの悩みや痛みを充分に
考えたうえでも、ひょっとしたら、さらに輪をかけて深いものかもしれません。』
 
 その誘因のひとつに五木氏は
『悩みを外に出せない時代。それはいまの世の中が競争社会だということです。』

『・・・・・。自分だけが、いつ何が起こるかわからないという不安を抱えて生きて
いるらしい。しかし、それを他人に知られてしまえば大変なことになる。
仲間はずれにされるかもしれないし、リストラされるかもしれない。そうしたら、
自分は社会の落伍者になってしまう。
 そのために、その人間は周囲の人たちと同じように笑顔をつくろうとし、無理に
いきいきと行動しようとします。必死でそうやって装うわけです。』
 

 妹が過保護に育ち、就職し世間に出たときがそうでした。
 明るいと評判でよく頑張ってました。
 ストレスを知らず知らず溜め込んで限界だったのに、私達家族が気づくのが
遅かったのです。

 
 阪神大震災の話題のところでは、
『 人のこころが傷つくということ。それは善でもなければ悪でもない。
ひとつのあるがままの自然な状態です。』

『その苦痛を出来るだけ少なくするとか、そこらから回復していく道を模索して
いくことは大事です。』

『 それと(傷ついたこころ)どうつきあっていくか、ということしかありません。』
 
 妹の病名を初めて知らされたときはショックで絶望的で、将来にとても不安を感じ
ました。
 五木氏の書かれてる中で、「不安を持つことは自信を持つことと背中合わせの関係
にあるので、不安の正体をしっかりと感じ取りなさい、自分が不安を感じていることに
むしろ安心しなさい」という部分を読んだとき、家族として今まで不安から遠ざかろうと
向き合わないで逃げ腰になっていたことは、余計に不安にさせることに気付きました。

『不安は人間を支えていく大事な力である』
そのように考えてみようと思いました。                    
                                              次回に続く
 

投稿者 miuras : 2006年01月13日 15:39
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コメント

行灯さま、おはようございます。

五木寛之さんのご著書は、根底に仏教や精神医学といった深いものがありながら、何気なく説いていらっしゃっているのが特徴ですよね。行灯さまのお話でとてもよくわかりました。

思いを共有したくTBさせていただきました。このお話の続き、もちろん期待しています!

投稿者 水井パセリさん : 2006年01月17日 09:09

>『不安は人間を支えていく大事な力である』
>そのように考えてみようと思いました。   

このパラドックス的な展開が、すごいです。

投稿者 水井パセリさん : 2006年01月17日 11:45

パセリさん、コメントとTB.ありがとうございます。
パセリさんは、いつも良い方に解釈し話題を広げて下さるので、とても勉強になります。
 私の場合は、看護学で「不安の除去」っていうのをケースバイケースで学んだのですが、それはおおかたが痛みとか不快感とかの症状に伴う肉体的なものでした。
 その内現場に出て気付いたのですが、慢性疾患の患者さまの不安は底が見えないのです。それを若輩のペーペーの看護師がどう和らげることができるのか…?
 気を紛らわしても、不安を除去することはほとんど不可能でした。
 そうなんだ、パラドックス的に背中合わせの状態で見ると患者さまに不安を減らせてたかも…。 
 いつも競走馬みたいに前ばかり向いてるものですから(^−^;
 私は五木氏は硬い人というイメージがあって、「カモメのジョナサン」の翻訳とか雑誌のエッセイ位しか読んだことがありませんが、この文庫本は気軽に読めました。

投稿者 行灯さん : 2006年01月17日 17:27

ほんと、ひとは不安を抱えて生きているのに、それが表にだせないのは辛いですね 不安を抱えていて当たり前なのに。心が傷つくのも自然なんですよね。だから、それを自然にお互いに受け止め合っていけるということができない今の時代は確かに難しいかもしれません

投稿者 ニノチカさん : 2006年01月18日 09:35

 にのせんせ、こんばんは。
>不安を抱えていて当たり前なのに。

 そこなんですよね。今の忙しい人はそれを抑えられて忘れていて、不安のある人の気持ちに添うことを難しく思っているのかもしれません。

 自分が仕事を辞めてゆっくりした生活のペースになって、意外にも当初時間があり過ぎて不安になった時期がありました。不安を感じる時間もない位仕事が忙しい時よりももっと不安だったのです。何か目的があって動く間は自分にある程度自信があるから、不安も表に出てこなかったのでしょう。
 不安ってにのせんせのおっしゃる通り抱えていて当たり前なんですね。
 仕事をしなくなってしばらくは何も手につかなくなり、何か自分に課さないとダメになるのではと…不安であせりました。あせればあせるほど不安が増えました。ところが、ホケーっと自然にしてると自分が見えてくるというか大きな風船のような不安が小さくなりました。

投稿者 行灯さん : 2006年01月18日 21:09

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