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10月3日の心臓痛は、妻にも大きな不安を与えました。無菌室では、各部屋のベッドサイトに電話があります。病院の所在地とぼくらの家との間には、電車とバスで1時間ほどの距離があります。小さな子どもを二人を抱えた妻は、毎日来るというわけにいきません。そこで電話で連絡を取り合い、家族はぼくの健在を確認していたのです。ところが、3日の心臓痛騒動で電話線が切れてしまったのです。検査のための機材搬入に伴って生じたトラブルで、それは仕方のないことです。しかし、問題はその後の病院側の対応でした。
3日の昼からいくら電話をかけてもつながらない。不安になった妻は、無菌病棟のナースステーションに電話をかけます。すると若い看護師さんが出てきて応対します。彼女は、私の病室の電話線が切れてしまったことを伝えます。妻は、当然こう尋ねます。「それで夫は元気なんですか?!」。それに対する看護師さんの応答はこうです。「申し訳ありませんが、規則ですからお教えできません。私たち、医師の許可なしに患者さんの病状を外部の方に知らせることはできないんです」。
妻は気色ばんでこう言いました。「『外部の方』って、私は家族です。妻なんですよ!!どうして教えていただけないんですか!!!」。しかしそれでも暖簾に腕押し。「規則ですから・・・」という答えが返ってくるばかりでした。らちが開かないので、よほど病院に駆けつけようと彼女も考えたようですが、しかしまだ2歳の太郎がこの時熱を出してしまって、それもかないません。結局、翌朝8時過ぎ、電話線が回復し、16時間を超える昏睡から目覚めた私が電話を入れるまで彼女は不安な状態に置かれたままだったのです。
看護師さんたちの名誉のために一言しておきますが、無菌病棟の看護師さんは、みなとても仕事熱心で有能な、そして感じのいい女性たちばかりでした。そういう人たちが集まっていてもなお、こうしたカフカ的状況が平気で出現するのです。それが大学病院というところ。みなさん、くれぐれも大病をなさいませんように。それが身を守るための唯一最大の手立てだとぼくは思います。
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