患者にとってのインフォームドコンセント
医療の情報がそれほど難しいのであれでは、結局医療の情報は医療者のためだけにあり、患者は医療情報を理解し判断することができないし、そのような状況下で自己決定権もないではないかと思われるかもしれない。
しかし、患者が自己決定権を行使し守るべき対象は「自分の価値観にそった生き方をすること」であり、医療の現場で自己決定により得るべきものは「自分の生き方に見合うような医療や治療法にたどり着くこと」ではないだろうか。
そのように考えれば、患者はまず自分の価値観や希望を医療者に伝え、医療者はその価値観や希望に最も沿うと思われる治療法を提示し、さらにその後に両者が話しあうことによって、最終的な結論すなわち治療法の決定にいきつけばよいことになろう。そこには患者と医療者の協働作業が成立し、患者はプロフェッショナルとしての医師の知識と技術を利用するという立場になる。それは医療者を神のようにみたてて身をゆだることではない。
自分の家の設計を依頼するときに、施主は建築技術や材料など全てを把握し理解しようとしないのと同様に、医療も全てを理解して自己決定しなければいけないと考える必要はない。
もちろん、信頼できる医療者に出会うことが前提条件となるが、患者が信頼のできない医療者と知識で争おうとすることは、不毛の戦いというべきであり、最初から避けなければならないことであろう。
|