MELIT:患者のための医療情報リテラシー
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・加藤眞三
(消化器内科)
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MELIT:患者のための医療情報リテラシー

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  2008/05/25 MELITの目指す情報提供とは

昨日、5月の肝臓病教室を開いた。今回の教室のテーマは検査についてであった。

「γGTPの基準値が病院により違うのはなぜか?」という質問から、
「健康な人でも基準値から外れる人が5%はいること」、
「基準値内であっても病気の人はいること」、
「そもそも健康と病気の境を明確に区分することが困難なこと」などをお話したが、
どこまで理解していただけたことだろう。
しかし、このようなことを理解することは、
医療情報を自分に当てはめて解釈するときにとても大事なことだ。 

基準値の設定や解釈については、ここでも今後とり上げて生きたい。

教室には、初めてこられた方や常連の方が混在して参加されているが、
今回の教室にはわざわざ神戸からこられたというご婦人もいた。

肝臓病教室がマスコミなどで紹介されてより、
都内の他の病院に通院されている方なども時々出席されているが、
関西からこられた方は初めてだと思う。

投稿者 katos : 08:19 | コメント (4) | トラックバック (0)
  2008/05/24 患者さんの抱える不安に関係する二つの要因

 慢性病や終末期の患者さんが持つ不安には二つの要因がある。一つは情報の不足に起因する不安;インテレクチャルペインであり、二つ目は、回答のない問いから生じる不安;スピリチュアルペインである。

 一つめの情報の不足や誤った情報のために悩む患者さんは多い。
「自分のかかえている病気のような経過をたどることが多いのだろうか?」
「検査でこんな値が出たけれども自分はがんではないだろうか?」
「今度、ラジオ波で肝臓の腫瘍を焼きましょうといわれたけれど、おなかの中に針をさして焼くなど信じられない。怖い」

これらは、適切な医療情報さえ患者さんに届けば、ある程度解消される悩みだ。

 このような情報の提供は、最近インターネット上のHPなどを通して充実してきている。がん患者さん向けには、国立がんセンターが「がん情報サービス」のHP(http://ganjoho.ncc.go.jp/public/index.html)を立ち上げ、情報を提供している。それ以外でも、厚労省、学会、製薬メーカー、病院、大学医学部からクリニック、健康食品販売店などのHPがあり、様々な形で医療情報が提供されている。

 さて、このような情報提供が整備されることにより生じてくるのは2番目の問題である。HPをたどってみると、実は、自分の病気に有効な治療法などないことを知ってしまう。もう、今の病状では自分の死も近いことを感じとってしまう。

 一昔前まで、本人にがんであることを伝えるのが稀であったのは、この2番目の問題を避けるためでもあった。患者さんの家族だけに、病名とその後の経過予測(予後)を伝え、医療者と家族は本人に対しては病名を隠すこことを優先した。

 しかし、実はそのことにより患者さんはますます孤独感を味わっていた場合も多い。また、現在では患者の家族にではなく患者さんに病気や病状知る権利があるとされ、患者さんへの情報開示が進み、本人が希望さえすれば病名や病状告知は当たり前となってきた。

 ここで大事なことは、本人が望まないことまで知らせるべきではないということである。

 このような時代背景の下、患者さんは2番目の問題に直面する機会が多くなってきたように思う。

 病名と病状を告げられて帰宅後不安になり、深夜に独りでパソコンに向かい、インターネットで自分の病気についてもっと調べたくなる。この時点ではインテレクチャルペインであっても、科学的なデーターを冷徹に突きつけられ死を意識しだすと、ペインはスピリチュアルペインへと移行する。

 情報開示は世の流れではあるが、ここに述べたように情報開示には痛みも伴う。そのような痛みにみんなが耐え切れるのであろうか?あるいは、そのような痛みに直面したときに支えるシステムもなしに、情報開示のみが推進されることは果たして患者さんにとって幸せにつながるのだろうか?

 

投稿者 katos : 09:30 | コメント (0) | トラックバック (0)
  2008/05/22 医療情報の集め方; インターネット VS 単行本

 インターネットより医療情報を得ることは、手軽であり、無料であり、新しい知識も欠かれており、患者さんにとっても良い情報源であることは間違いない。医師よりも早く新しい情報を知ることもありうる。

 しかし、インターネットの情報の決定的な欠点は、断片的な知識しか入りにくく、体系的な知識にはなりにくいことである。また、大量の情報を見渡すことも難しい。

 やはり、体系的な知識を得るには単行本がよい。有料ではあるが、読みやすく作られており、パラパラとめくりながら必要な情報が概観できる。

 良い情報を得るためにはある程度の出費は覚悟したほうが良いだろう。インターネット上の無料のものには、それだけの警戒心が必要だ。その情報が何の目的で提供されているのかを裏読みすることが必要となる。

 単行本にもバイブル本という悪例はあるものの、信頼のある出版社より出された単行本はある程度信頼性も高い情報源となる。

 患者さんや一般の人向けの啓蒙書も便利ではあるが、新しい情報に追いついていないことも多い。

 患者さんの立場からもう少し専門的な知識がほしいと思えば、看護師向けの教科書は体系的に知識を得るには一番良いと思う。看護学生の人数は多いので、部数が出るためか、結構短期間に改訂が繰り返されている。また、医師向けに比べると理解しやすいし、患者の視点や日常生活に即して書かれている。

投稿者 katos : 00:01 | コメント (0) | トラックバック (0)
  2008/05/21 腫瘍マーカーの基準値とその読み方

以下は、拙著 「肝臓病患者指導テキスト」(南江堂)からの引用です。

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AFPの基準値

 AFPは慢性肝炎や肝硬変の状態だけでも基準値に比べて軽度から中等度(100から300ng/ml)増加することがしばしば観察されます。

慢性肝炎では肝がんがなくても1000ng/ml以上となった例も経験します。したがって、経過中の値の変化が重要であり、2回以上連続して大きく上昇する時には要注意です。

最近AFPの中にレクチンという物質とくっつきやすい性質を持った成分が見つかり、その成分は特にがんで高くなることがわかりました。この成分分画をL3分画と呼び、その値はがんの早期診断、治療効果の判断などの参考になります。

投稿者 katos : 23:40 | コメント (0) | トラックバック (0)
  2008/05/21 基準値とは

以下は、拙著 肝臓病患者指導テキスト(南江堂)からの引用です。
基準値の解釈などを詳しく書いています。検査の値で心配な人は一度是非お読みください。

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検査における基準値について患者に説明します。

かっては、正常値あるいは正常範囲などと呼ばれていましたが、実際問題として検査の正常値を決めることは難しく、一般的には健康と思われる人の血液を多数集めて測定し、その数値の分布を調べて95%の人が入る範囲を正常値としてきました。

 しかし、この方法では健康体の人であっても5%の人は正常値の範囲外、すなわち異常となってしまいます。つまり、正常値という言葉は誤解を招きやすく、正常範囲から外れると自分があたかも異常であるかのように思ってしまいます。

 ところが、この方法では全く健康な人の間でも正常値から外れる人が5%もいるのです。

 そうすると、例えば異なる項目の検査を10種類も同時に測定すれば、全ての検査が正常範囲内の人は0.95を10回かけた確率、すなわち0.57となり、半数近くの人は健康体であるにもかかわらず何らかの検査で異常ということになります。

 したがって、検診などで沢山の検査項目の中でいくつかが正常範囲からちょっと外れているだけであれば、余り深刻に考える必要がないのです。。

 また、上記の方法で正常値を求めると、世の中全体が食生活の変化のため高脂血症に向かっている時には、コレステロールの正常値の範囲は毎年上がってしまうことになります。

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このように単なる参考とする値として基準値はあるのです。
それよりちょっと高いからといって、心配する必要はありません。

投稿者 katos : 23:34 | コメント (0) | トラックバック (0)
  2008/05/21 検査値のゆれとは

検査値のゆれは病気の経過の中でどうしてもあるものです。慢性病では長い目で見ることが必要ですが、毎回の検査の小さな上下に一喜一憂することはありません。

以下の文章は
拙著 肝臓病生活指導テキスト(南江堂)よりの引用です。
それ以外にも患者さんにとって大切なことが書いてあります。
肝臓病の検査等で心配な人は一度お読みください。

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 肝臓病の経過は図8に示すように、長期的には徐々に進行していくのですが、1ヶ月や2ヶ月の変化で命に大きく影響することはまずありません。

ASTやALTの変化も、特にこれといった原因はなく、単に短期的なユレである場合も多いのです。一回一回の採血の結果でがっかりしたり、喜ぶ必要はありません。今は悪くても必ずまた良い時期が来るものです。

 血小板の数も「先月は10万2千だから慢性肝炎で、今月は9万8千だから肝硬変になってしまった。来月にも肝がんが出るのでは」と恐れる人がいますが、そのような心配の必要はありません。来月にはまた10万3千になっているかもしれません。

 どのような検査であっても、ある値を境に突然急に病気であったりなかったり、あるいはがんになりやすかったりがんなりにくかったりなどとはっきりと分かれるものではありません。

投稿者 katos : 23:25 | コメント (0) | トラックバック (0)
  2008/05/18 リウマチ友の会 第48回全国大会に参加して

5月17日、山形市ホテルメトロポリタンにてリウマチ友の会の全国大会が開かれ、私は特別講演に招かれて参加した。会場には約800名の参加者があり、想像していた以上の盛会であった。

関節リウマチの治療に関して、この10年間に大きな進歩があり、今や緩解も夢ではなく現実的な目標になっている。長年この会の世話をされている長谷川三枝子会長は「この10年で会員の顔がみんな明るくなった」と感慨深そうに振り返る。

やはり、何はなくとも治療(キュア)が患者さんに望まれていることは間違いない。

 リウマチ友の会は疾患別の患者会として日本最古の歴史を持ち、会員数も約2万1千人であるという。行政やリウマチを専門とする医師とも良い関係性を持っている患者会であり、大会には厚労省副大臣、県知事の代理、市長に加えて、リウマチ学会の理事長をはじめとして有名教授が何人も参加されていた。

特別講演で与えられたテーマは「氾濫する医療情報に振り回されないために; インターネットやマスコミの情報はどこまで信じられるのか?」であった。医療情報リテラシーを患者さんに伝えるのがこのサイトの目的であり、2万人を超える会員をもつこの会で講演する機会を与えられたことは私にとってもありがたいことだ。

大会の最初は硬い雰囲気でどうなるかと心配したが、私の前の竹内勤埼玉医科大学教授の医療講演からは和やかな雰囲気になり、笑い声もきかれる和やかな講演会となった。
私の特別講演でも、私が時々放つオヤジギャグにちゃんと答えてくださる心優しい聴衆であった。

今後、ここで講演した内容などをふくめて、医療情報の読み方についての記事をMELITにアップしていきたい。

投稿者 katos : 22:09 | コメント (0) | トラックバック (0)
  2008/05/14 「セーフティーネット・クライシス ~日本の社会保障が危ない~」をみて

 今朝というよりは昨夜の深夜に再放送されたNHKスペシャルの内容はすさまじいものであった。
私が感じていた以上に日本の社会保障制度は既にぼろぼろになってきていることが描かれた番組であった。

 企業はリストラにより正規社員をどんどん減らし、非正規社員が増えてきた。そして、そのために社会保険から国民保険へと移行した人が増えている。これは結局は企業の社会保険負担の縮小を意味し、個人は国民保険に自分自身の保険料を払わなくてはならなくなる。
国民保険の保険料が高くなり、それを滞納したため国民保険をもてなくなり、病気になっても医療にかかれなくなり、がんの末期状態でも病院に受診できない人も紹介されていた。

生活保護も自立支援の名の下に厳しい指導をうけている。


医療・介護・福祉はこの10年以上にわたり競争社会・経済の効率化のもと削りに削られてきた。それに教育も加わるわけであるが、この4つは、ある意味で国民の未来への投資であろう。その投資をおこたればわが国に未来はない。

この国の新たなセーフティーネットはどのように構築されるべきなのか。
それを政治家はちゃんと意識しているのか、
官僚に任せていて大丈夫なのか、
国民はもっと声をあげていかなくてはならないし、
自分でできることを始めていかなければならないだろう。

再々放送が2008年5月18日(日)  10時~ BS2で予定されている。

是非皆さんもご覧になって、ここにご意見をください。


投稿者 katos : 02:23 | コメント (4) | トラックバック (0)
  2008/05/13 平静と勇気と知恵を

「神様、私にお与えください。
自分に変えられないものを受け入れる落ち着きを!
変えられるものは、変えていく勇気を!
そして、二つのものを見わける賢さを!」


アルコーリクス・アノニマスのミーティングで使われる
緑の小冊子ミーティングハンドブックの8ページ目に
この言葉が載せられている。


アルコーリクス・アノニマスとはアルコール依存症患者が
断酒のために集まり仲間同士で話し合う会がである。
自助グループ活動の最初のものであろう。


アルコーリクス・アノニマスの集まりでは、
16ページ足らずの緑の小冊子が使われ
何度も繰り返されて読まれるが、
私はとりわけこの8ページの言葉が好きだ。

God, grant me the serenity
to accept the things I cannot change;
the courage to change the things I can;
and the wisdom to know the difference.

「神様、私にお与えください。
自分に変えられないものを受け入れる平静を!
変えられるものは、変えていく勇気を!
そして、その二つを見わける智慧を!」

私は訳語として大事なものを漢語にしておきたいので
上記のように翻訳したいが伝える内容は同じである。

望むものは、
自分ではどうしようもないことを受け入れる(受容する)
諦めの境地であり、
自分でできるものをやる勇気であり、
その二つを明晰に判別する智慧であろう。


私たちが悩み、そして迷うのは
変えられないものを変えようと無理を期待するからであり、
変えられるものを変えようと努力しないからであり、
そして、その二つを分別できていないからである。


しかし、この3つのどれもが達成することの難しい目標であり、
だからこそ、このような祈りが生まれるのだろう。
それが希望である。

患者力とはこのような力を身につけることなのだと思う。


投稿者 katos : 12:40 | コメント (0) | トラックバック (0)

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