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2008年12月08日 氾濫する医療情報に振り回されないために;医療情報リテラシーのすすめ その4

情報源別の留保点
 情報の質の判断には、発信者がどのような目的で発信しているかを読むことが大事です。特に無料で視聴できる民放のテレビ、ラジオ、雑誌、そしてインターネットから得る情報では留意が必要です。以下に、インターネット上の情報の特徴を述べます。

行政機関からの情報は、「お上が言うことは正しい」と思える人は幸せですが、やはり、政策誘導的です。内容が解りにくいという特徴もあります。もともと、余り解ってほしくないのに情報を発信しているようさえ思えます。

学会から出している情報は学問的で中立かといえば、必ずしもそうではありません。学会もやはりその学会が繁栄するためには、より多くの患者さんがいたほうが良いという事情もあるからです。これから増えていく病気には若い医師も興味を示すし、もうすぐ解決されてしまう病気では将来廃れてしまう。かといって、治療法のない病気では医師としてやりがいがなさそうだなど、さまざまな事情によりその学会の将来がかかっているのです。また、学会はどうしても新しい治療や技術に飛びつきやすい傾向にあることは否めません。

製薬企業からも積極的に医療情報の提供が行われています。行政機関や学会のものに比べて見やすい、解りやすいという特徴がありますが、それだけの資金を投入されホームページを作成しているからです。製品の開発や市販後の情報にも詳しい企業が、消費者である患者さんや医療者に情報提供することはもちろん歓迎すべきことですが、やはりその情報提供の目的は製品の販売を拡大することが第一であることに留意が必要です。

病院やクリニックからの情報は、やはり患者さんを誘導することが目的になっているものもあることに留意すべきでしょう。特にダイエットや美容に関するもの、アンチエージングと称するものにはいかがわしいものが多いのです。

健康食品や薬局のサイトでは、アガリクスのバイブル本のように全くでっち上げの記事が出ていることにも注意が必要です。このようなサイトにでている体験談の類は信用できません。また、患者さんの集まる掲示板にも、患者を装って書き込みこのようなサイトに誘導することも多いのです。

同病者の集まりである患者会のホームページは比較的安心して読めるサイトです。特に歴史のある患者会であれば、学問的に間違った情報や商売目的の広告も少ないように思います。しかし、治りたいという一心で、医師としてみれば余り評価のできない民間療法やそれほど重要にも思えない治療法が話題として盛り上がっている場合もあります。

さいごに
信頼できる医療情報を得ることの難しさをあらためて感じられたことと思います。実際、自分が必要とする医療情報を得ることは医療者であってもその専門家でなければ難しい。まして、医学を系統的に学んでいない患者が理解することはより難しい。必要とする情報は実はまだ文字情報になっていない場合もあります。それでも、私は患者さんが自分で医療情報に接しようとすることは必要だろうと考えます。

インフォームドコンセントについて語るとき、しばしば患者と医療者の対立の構図の中で語られます。しかし、医療情報を得る目的は、医療者に対抗して理論武装するためではなく、患者さんと医療者が協同作業としての医療をすすめるために望まれるのです。 

私の理想と考えるインフォームドコンセントは、患者さんは、自分の人生観や価値観を伝え、医療者は、その患者の人生観や価値観にあった医療の選択枝をあげて伝え、その上で、さらに両者間で話し合い、最終的に患者さんが決定するというものです。ここで詳しく述べるスペースはありませんが、拙著「患者の生き方」をお読みください。

よりよい医療を実現する上で必要なことは、患者さんが信頼できる医師を選び、自分の生き方をしっかりと自覚し、そして医師と良いコミュニケーションをもつことです。私はそのような患者さんの能力を患者力と呼びたいと思います。そして、皆さんが患者力を磨き、患者さんと医療者の良い関係性を築いて、よりよい日本の医療を実現させて欲しいと思います。

投稿者 katos : 2008年12月08日 10:07
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