更に不思議なのは、この苦情を受けた日薬の対応である。『所属の県薬に連絡』としているが、連絡しただけでは何の解決策も示されなかったのではないか。危機管理のための研修会等に、強制的に出席させ、具体的な対処の仕方を勉強してもらうぐらいのことはやってもらわなければ困るということである。
H18.5.9.「薬の在庫がないとの理由で処方箋を拒否された」(患者・電話)
普段行く薬局でない薬局に処方箋を持って行った。
小児用の薬で「在庫がない」とのことだったので、「取り寄せてもらえますか?」と尋ねたら、「そのような対応はしていない」と、処方せん調剤を拒否された。
[事務局対応]所属の県薬に連絡
薬剤師法第21条に『調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあった場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。』とするのが、いわゆる薬剤師の『調剤の求めに応ずる義務』を規定した条文である。
ここでいう『正当な理由』とは、天変地異により薬剤師が薬局において調剤できない場合ということになっており、『処方薬の在庫がない』等というのは正当な理由に含まれていない。つまり、『在庫がない』という口実で、調剤を拒否した薬剤師は、薬剤師法第21条に違反したことになる。罰則規定がないとはいえ、薬剤師が自ら薬剤師法を無視するということは、薬剤師存在の根源をないがしろにする問題だといえる。
近隣の調剤薬局に確認し、薬剤の借り入れの努力をする。病院から出された処方せんなら、当該病院からの借用を相談する。それが無理なら取引のある卸に依頼し、緊急で薬を入手する。これらのうちいずれかの方法を採れば、薬を手に入れることは出来るはずである。最も1回の調剤で40-50錠しか使用しないのに、500錠包装しか販売されていないとすれば、結局は死蔵品が増える。その後、何時処方されるか分からないから購入はしたくないという発想になるのであろうが、それは理由にならない。
薬を探している間、当然、調剤することは出来ないが、一定の時間の予測が付けられた段階で、調剤可能時間を割り出し、患者にその点を説明して待ってもらい、後刻届けるということでも済むはずである。
医療に携わっているという認識が欠けたとき、調剤薬局の薬剤師はただの商売人に成り下がってしまう。調剤過誤に対して何の対応も示さず貝になってしまう薬剤師も、法律に違反して尚反省のない薬剤師も、人の命にかかわる仕事をしているという認識か欠如しているとしかいいようがない。薬剤師教育が臨床を重視するため6年制になった現在、自覚のない薬剤師は前線から撤退せざるを得なくなるのではないか。
等と、書いているうちに読売新聞[わたしの医見-後発品扱う薬局教えて;第47104号,2007.4.27.]なる投書が掲載された。
『うつ病のため、精神科に通っています。今月21日の朝刊一面で、新薬と有効成分が同じだが値段が安い後発医薬品の普及が進んでいないという記事が掲載されていました。
記事でも触れていますが、昨年度から処方せんに「後発品への変更可』との欄が追加され、普及が後押しされています。私も、抗うつ薬について「変更可」とされ、医師の署名ももらいました。それを持って2か所の薬局に行きましたが、「薬の在庫がない」といわれましたので、結局、値段の高い先発薬にしました。確かに、全ての薬を薬局が置いておくのは無理かもしれません。その時は、どこで買えるかを病院が教えて欲しいと思います』
少なくとも薬を揃えるのは薬剤師の役割であり、患者が薬を手に入れるために薬局を回遊するなどということがあってはならない。ただ、処方薬は買えるとか買えないとかの問題とは別なところにあり、健康保険で給付されるものの一つである。更によく分からないのは『後発品への変更可』というのは、商品名で指定するのではなく、一般名で指定して、一般名が同一(成分が同一)であるなら薬局が所持しているどの銘柄の薬を選択してもよいということであり、広範な選択肢を持っているはずである。それが2軒の薬局で持っていないとすると、よほど後発品の少ない医薬品なのかあるいは後発品のない医薬品なのではないかと疑いたくなる。更に病院で取り扱い薬局を教えろという話もあるが、病院と同一資本の薬局(第二薬局)開設の弊害を排除するため、病院が特定の薬局に誘導することは禁止されている。その点は御理解いただきたいのである。
1)薬事新報,No.2468:385(2007)