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・古泉秀夫
(薬剤師)

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  2007/11/23 「男性服用薬と催奇形性」

melit掲示板にエンテカビルの催奇形性に関する質問が寄せられていた。本来なら掲示板上に参加するのが筋であるが、調べるのに少し時間が掛かり過ぎたので、こっちに逃げることにした次第。従って調べた結果について、ここで書くことにする。

 エンテカビル(entecavir hydrate:バラクルード錠)の添付文書に書かれている、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に投与する際の注意は、『治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。』という記載である。更にこの注意事項記載の理由として『妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。生殖発生毒性試験において、ラットでは母動物及び胚・胎児に毒性が認められ、ウサギでは胚・胎児のみに毒性が認められた。ラット及びウサギの曝露量は、ヒト1mg投与時の曝露量のそれぞれ180倍及び883倍に相当する。』の記載がされている。

 ところで男子の服薬と催奇形性の発現については、次の通りいわれている

 男性が服用した薬物の妊娠への影響については、症例報告も殆ど無く、一部の薬物を除外して、一般に使用する薬物については、殆ど心配はないとされている。射精される精子の数は億単位で、そのうち20%程度は元々形態的に異常が見られるとされている。もし薬物の影響を受けて精子障害性が見られたとしても、その精子は受精能力を失うか、受精してもその卵子は着床しないか又は妊娠早期に流産して消失すると考えられている。

投稿者 koizumih : 14:34 | コメント (2) | トラックバック (0)
  2007/11/18 『混合診療』

 弁護士も経験がないとして手を出さなかった混合診療に関する裁判で、厚生労働省を相手にして全くの素人が、第一回戦で勝ってしまった(清郷伸人氏)。驚くべき頑張りというか、執念というか。更には癌の治療を受けている患者ということを聞けば、驚異的な意志の強さだといわなければならない。

 原則的にいえば、健康保険は、その規定の枠内で診療をすることになっている。従って自由診療との併用は認められず、自由診療を選択すれば全てが自由診療に切り替えられて、診療に係わる経費は全て自費ということになる。

 但し、1984年に『特定療養費制度』として高度先進医療、差額ベッド、歯科の選択材料の3種類で差額徴収の導入がされた。それ以後、政府公認の混合診療(保険外併用療費制度)は増加し、16分野の混合診療が例外的に認められている。つまり厚生労働省が承認した事例は、『保険外併用療法』として実施可能であるが、それ以外は駄目だということになる。

 ところで今回の東京地裁の判決で、裁判官は『混合診療について、保険が受け取れないと解釈できる法律上の根拠はない』と判断したと報道されている。また厚生労働省は『基本的な原則は曲げない』として控訴する方針を明らかにしたというが、まあ、厚生労働省としては当然の反応ということだろう。

 しかし、正直にいうと、厚生労働省の承認する『保険外併用療費制度』の中味は、金のかかる部分を自費で患者負担させることが目的で、本来保険対応で実施すべきものを弁別しているだけととれないこともない。つまり財源がないから別にしているだけで、財源があれば、差額徴収などする必要は全くないということではないか。その意味では、財源の不足以外に自由診療が存在していることの意味はなく、自由診療と保険診療が混在していても特に問題がないといわれればその通りではないのか。むしろ混合診療を認めることで、全額自費になるよりは医療の選択の幅が広がるのではないかと思われる。

投稿者 koizumih : 20:15 | コメント (0) | トラックバック (0)
  2007/11/11 『逃散』

疲弊した病院から医師が離れていく現状を小松秀樹氏は著書「医療崩壊」中で、「立ち去り型サボタージュ」と命名しているとされる。

 今、間違いなく、地方の病院から医師がいなくなっている。頻繁な当直業務と、当直中の日勤業務の延長ともとれる過酷な勤務。更に引き続く日勤業務と、終わりの見えない業務に消耗し、退職する。そこには医の倫理などという高邁な理念などでは御し得ないほどに、展望の見えない勤務の連続が見られるのである。

 退職する医師が出れば、仕事の全ては残った医師の肩に掛かってくる。更に自院だけではなく、他院の医師の退職による医療空白の穴埋めを期待して、地域の患者が集中する。その結果、待っているのは医師の加重労働ということであり、耐えきれなくなった医師は、退職するという結果を招く。

 診療科の廃止や病棟の閉鎖が始まり、連動する診療収入の減少は、ついには病院の廃院という自体にまで追い込まれる事になる。ただし、これは地方に限ったことではなく、ついに東京においても同じ様なことが起こり始めている。

 厚生労働省は医師は偏在しており、全体として医師は不足していないというが、都会でも医師不足を理由とした廃院が起こっているとすれば、一体何処に偏在しているのであろうか。最も最近になって、厚生労働省も実態として医師不足は認めざるを得ない状況になってきているが、長年医師数の抑制を図ってきた付けは大きい。緊急避難的に大病院から医師を派遣する方式の導入を厚生労働省は企図したが、どういう派遣方式をとるのか、戻っていた時にポストは残っているのか等、種々解決しなければならない問題が存在し、そう簡単にはいかない。

投稿者 koizumih : 15:36 | コメント (0) | トラックバック (0)
  2007/11/04 『QES』

 先日、講演会で『医療の本質は、全て患者の有益性に繋がるかどうかが基本である』という話を聞いた。薬についていえば、患者の有益性を高めるためには、薬剤のQES(クエス)が重要だという話である。

 『Q』は品質(Quality)
 『E』は有効性(Effectiveness)
 『S』は安全性(Safety)

の各略で、『QES:Quality,Effectiveness and Safety』ということのようである。

 特に医療の中における薬剤師の役割は、今後、薬剤の『安全性』の確保に努めるべきであり、医薬品管理を通して、医薬品の適正使用に貢献することが重要であるという話であった。

 しかし、どちらかといえばQESは製薬企業及び厚生労働省の守備範囲で、医療現場で仕事をする薬剤師の守備範囲だと大風呂敷を広げられても返事のしようがないというのが正直なところである。

 医薬品の有効性については基礎実験段階から臨床治験を経て資料の収集をするのは製薬会社であり、その資料に基づいて、薬の有効性・安全性を評価し、承認するのは厚生労働省である。薬剤師が扱うのは、国の御墨付きを得た後で、市販された薬であって、第一、有効性や安全性の情報は、全て製薬企業が提供する情報に依拠している。更に市販後に有効性が向上するなどということはなく、むしろ増加するのは『負』の情報である。

投稿者 koizumih : 16:58 | コメント (1) | トラックバック (0)

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