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小学生の頃からなんだかんだいってずっとよいつきあいが続いている同級生からメールが届いて、「最近何にはまってる?」ときかれました。それでまじめに考えてみたのです。日本に帰って来てから当直の時にテレビは見ちゃいますが、テレビにはまってるなんて俗物的なこと、大きな声では言えない!
はまっているものはですね...

Atul Gawandeというアメリカのお医者さんの書いた「Complications」という本です。断言しましょう、これは次にゼッタイ来ますよ。もう世界各国で訳されて出版されているようですが、台湾語はあるのに日本語はまだなんですね。写真はいろんな言語の表紙です。何なら私が日本語訳をしたいわー。
   
まるでミステリーを読んでいるかのような、次に進むまではこの本を置けないわ!という状態になります。ご飯を食べるか、トイレに行くか、っていう以外はかぶりつきです。
内容はですね、ある外科医の外科医からみた本当の医療の話です。When doctors make mistakes(医者が間違いを犯すとき)なんていうセクションなんて、そのタイトルからして衝撃的なように、いままで医療者の間でだけ交わされてきた医療者にとっては当たり前で、もう読みながらうんうんうなずいてしまうようなその気持ちとその状況。それを誰にでも(医療関係者じゃなくても)話しちゃうっていうところ。話しちゃうところにびっくりするだけではなくって、ほんとうは、他のひとにもこういう気持ちも分かってもらいたかったって思ってても、それをきちんと1から10まで説明することが不可能だと思ってた自分と、それが出来てしまったこのDr Gawandeにびっくりするわけです。外科医として、いっちばん最初にヒトに体にメスを入れた瞬間。そんなこと、私だって他言したことありません!
Dr Gawandeが書いてます。医者として辛い日があるわけです。全て最善を尽くしてやっているつもりでも、思ったとおりの結果がでない日もあるんですよね。思ったとおりの結果がでない裏には一言や二言では説明のできないいろんな要素が複雑に絡み合っていて、患者さんには「すみませんが期待していたほどはよくなかったかもしれません」って何とかそんな言葉を言ってみても、心の中では、「ああ、あのとき、そしてそう、このとき、そしてあれとあれがこうなれば...」とかって考えているのです。そして一緒のチームのドクターやナース達とはこっそりと話し合うことはできても、そんな一瞬一瞬の心の動きを、家に帰ったって医療関係者ではない、例えば夫、に向かって全部説明するのは無理だと思っちゃっていて、ましてや一般に公開するなんてもってのほかだと思ってた。それをDr Gawandeは流れるような正確かつ分かりやすい文章で書いてみせた。
医療ものにありがちなセンチメンタルに泣かせるような話を書いているのではなく、かといって(まるでテレビドラマのERのように)ドラマチックに仕立て上げているのではなく、そういう医療の世界を冷静に分析している目。
ここまで正直に書いてしまえば、きっと不安になる患者さんだっているかもしれない。医者が神様だった時代はもう終ったと分かっていてもまだそこにしがみつこうとしている、そのほうがうまくいっていたからかもしれません。この本を読むことで患者さんはきっとすこし「実物大の」外科医を理解することでしょう。疲れているお医者さんもいるし、機嫌の悪いお医者さんもいるし、もがいている。神様のような医者や魔法のような薬を求める、全てお任せするから治してくれって放置する、そうやって知らないから誤解をうんでしまうようなことがなくなるのなら、不安になることだっては私はいいことだと思うのです。
Dr Gawande、実名ですし、実際、外科医としてボストンで働いているのですから、一度お目にかかってみたいものです。
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