氷解
壊れてしまった自分を 思い知らされた あの日
仕事も明日も 何もかも見えなくなった あの日
知らないうちに 胸の中に作られたものは 黒くて冷たい塊だった
口惜しさと情けなさの 冷たい雨の中で
自分の胸を鋭い爪で かきむしった あの日
痛みと涙と傷跡は黒く冷たい塊にへばりついて
さらに 胸を押しつぶしていった
小さく みすぼらしくなった自分を 罵り
遠く外れたところにいる自分を さげすんだ あの日
孤独と不安と怒りは さらに黒くて冷たい塊にへばりついて
闇をさらに黒く塗りつぶしていった
落ちたくはない 落ちてはいけない
足下の暗闇に体をふるわせて しがみついていた あの日
恐怖と嘆きとあせりは 黒く冷たい塊にへばりついて
さらに 足の力を奪っていった
どうにもならない無力な日々の中で
しがみつくのをやめて 手を離した あの日
からっぽで乾いた風が 胸の中を通り過ぎて
黒く冷たい塊を溶かしていった
塊は 溶けて壊れて見えなくなった
胸に流れる血を暖かいと思えた あの日
石ころみたいに 軽くて楽になった自分がいた
雑草みたいに寝ころがっている 自分がいた
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